寿・丸田家・鈴木家結婚披露宴(その壱)
2007年 04月 16日
兄弟・姉妹よ!
ここ、何処だと思う?
正解は、東京は目白、江戸川橋の近く、高級住宅街に囲まれた、旧山縣有朋公
爵別邸、今はその名も高い『椿山荘』のお庭なんです。とっても都会の中とは思
えない深山幽谷が広がる。
名高い庭園だけあって、ちょっと注意し散策していると、“鶏の若冲”と呼ばれた
江戸時代の名匠、伊藤若冲の意匠による羅漢像に、思わず出会ったりする。
今日、アンバサタはお庭を散策しに来たのではない。そう、本日は……
丸田家・鈴木家結婚御披露宴の司会をしにきたのであーる!
当日、式場の宴会係の方と打ち合わせがあったので開演1時間ばかり早く開場
入りしたら、お世辞にも堅気とは思えない(失礼!)、強面のオヤジがソファーに凭
れている。なんだい、偉そうに、と一瞥したら、お互いの目線があって仕舞った。
障らぬ神に祟り無し。知らん顔して通り過ぎたけど、でも何故か見覚えのある面
持ちである。次の瞬間
「あ、茂木さんだ!」
そう、今宵の主賓である、NHK交響楽団主席オーボエ奏者の茂木大輔さんその
人だったのでした。どうしよう、跋が悪いよな、と暫くもじもじしていたが、意を決して
「茂木先生でいらっしゃいますか」
「はい、茂木です。先生では有りませんが(笑)」
あちゃー、そうならそうと言ってくれりゃいいのに、と何とか場を取り繕うとして
「お初に御目文字致します。本日ご披露宴の司会をさせて頂きます鞍馬沙汰と申
します。以後お見知り置きを」
と、苦し紛れの挨拶に、茂木さんは暫く面食らっていたが
「そうでしたか、本日はおめでとう御座います。ところで……」
急に持ち上がった変更事項を確認し、では宜しくと別れが、背中は冷や汗でびっ
しょり(笑)。
開演30分前になり、広間に繋がる控えの間に通された。すると次々に本日の主
賓格のみなさんが集まって来た。
「吉野直子さんでいらっしゃいますか。本日はおめでとう御座います。今宵の披露
宴で司会を……」
「ご苦労さまです。こちらこそ宜しく御願いします。」
とっても品の良い、お優しい口跡で対応してくださいました。
いやね、今夜の披露宴は凄いんだよ!オーボエの茂木大輔さん、ハーフの
吉野直子さん、ヴァイオリン松原勝也、鈴木理恵子御夫妻、チェロの藤森亮一、
向山佳絵子御夫妻という、列席して下さるだけでも名誉なことなのに、こ
の超一流演奏家の皆さんが祝賀演奏までして下さるのです!予め台本は新郎新
婦から貰って、このことを知っていたのだけど、いざそのお歴々を目の当たりにし
て心底思った。
今日の新郎新婦って凄ぇな!
アンバサタは司会として新郎新婦は勿論、この方々にも満足して頂ける様なお喋
りをしなくてはならない……と戦々恐々として、式場の関係者と打ち合わせに臨む
司会者・鞍馬沙汰の手には汗がじっとり。
「では打ち合わせを始めさせて頂きます。当会場のチーフで御座います○×です。」
と、先ずは名刺交換。細細した段取りと注意事項を確認。では宜しく御願いします
と、案内されたレクチャー・アンプの前に立ち、声の調子と緊張をほぐすために
えーえー、あーあー、うぉっほん……本日は微妙に晴天なり
と、遣っていたら、近くでお皿を揃えていたボイさんが噴出していた。そのボイさんを
捕まえて
「あの、一寸御願いしてもいいかな」
「はい、なんでしょうか」
「済まないが、極薄いヰスキイの水割りを呉れないかな。喉が乾いて仕舞ってね」
「お水ならそこにお出ししてありますけど」
「水じゃ調子が出ないんだよ」
「そうですね(笑)、畏まりました」
運んできてくれたグラスを早速一口。さっきまで緊張して締付けられるようだった胸
の辺りが、ヰスキイのお蔭で段々と広くなって来た。
さて、一丁喋ろうか。
打ち合わせ通り、宴会場のチーフから開演準備完了の合図が出されるのを待っ
ていたが、なかなかそれが無い。仕方なくマイクの前でじっとしていた。その時間
の長かったこと……。このまま茲で、あたしゃ年とっちゃうぞ、と文句言おうかと思
っていたら、チーフが寄って来て
「済みません、準備が遅れまして……それでは、御願い致します」
「はい、解りました」
―間もなく開宴で御座います。ロビーにお出での方はお席にお着き下さいませ―
さて、今日は茲迄。お楽しみは又明日(笑)。
(つづく)
ここ、何処だと思う?
正解は、東京は目白、江戸川橋の近く、高級住宅街に囲まれた、旧山縣有朋公
爵別邸、今はその名も高い『椿山荘』のお庭なんです。とっても都会の中とは思
えない深山幽谷が広がる。
名高い庭園だけあって、ちょっと注意し散策していると、“鶏の若冲”と呼ばれた
江戸時代の名匠、伊藤若冲の意匠による羅漢像に、思わず出会ったりする。
今日、アンバサタはお庭を散策しに来たのではない。そう、本日は……
丸田家・鈴木家結婚御披露宴の司会をしにきたのであーる!
当日、式場の宴会係の方と打ち合わせがあったので開演1時間ばかり早く開場
入りしたら、お世辞にも堅気とは思えない(失礼!)、強面のオヤジがソファーに凭
れている。なんだい、偉そうに、と一瞥したら、お互いの目線があって仕舞った。
障らぬ神に祟り無し。知らん顔して通り過ぎたけど、でも何故か見覚えのある面
持ちである。次の瞬間
「あ、茂木さんだ!」
そう、今宵の主賓である、NHK交響楽団主席オーボエ奏者の茂木大輔さんその
人だったのでした。どうしよう、跋が悪いよな、と暫くもじもじしていたが、意を決して
「茂木先生でいらっしゃいますか」
「はい、茂木です。先生では有りませんが(笑)」
あちゃー、そうならそうと言ってくれりゃいいのに、と何とか場を取り繕うとして
「お初に御目文字致します。本日ご披露宴の司会をさせて頂きます鞍馬沙汰と申
します。以後お見知り置きを」
と、苦し紛れの挨拶に、茂木さんは暫く面食らっていたが
「そうでしたか、本日はおめでとう御座います。ところで……」
急に持ち上がった変更事項を確認し、では宜しくと別れが、背中は冷や汗でびっ
しょり(笑)。
開演30分前になり、広間に繋がる控えの間に通された。すると次々に本日の主
賓格のみなさんが集まって来た。
「吉野直子さんでいらっしゃいますか。本日はおめでとう御座います。今宵の披露
宴で司会を……」
「ご苦労さまです。こちらこそ宜しく御願いします。」
とっても品の良い、お優しい口跡で対応してくださいました。
いやね、今夜の披露宴は凄いんだよ!オーボエの茂木大輔さん、ハーフの
吉野直子さん、ヴァイオリン松原勝也、鈴木理恵子御夫妻、チェロの藤森亮一、
向山佳絵子御夫妻という、列席して下さるだけでも名誉なことなのに、こ
の超一流演奏家の皆さんが祝賀演奏までして下さるのです!予め台本は新郎新
婦から貰って、このことを知っていたのだけど、いざそのお歴々を目の当たりにし
て心底思った。
今日の新郎新婦って凄ぇな!
アンバサタは司会として新郎新婦は勿論、この方々にも満足して頂ける様なお喋
りをしなくてはならない……と戦々恐々として、式場の関係者と打ち合わせに臨む
司会者・鞍馬沙汰の手には汗がじっとり。
「では打ち合わせを始めさせて頂きます。当会場のチーフで御座います○×です。」
と、先ずは名刺交換。細細した段取りと注意事項を確認。では宜しく御願いします
と、案内されたレクチャー・アンプの前に立ち、声の調子と緊張をほぐすために
えーえー、あーあー、うぉっほん……本日は微妙に晴天なり
と、遣っていたら、近くでお皿を揃えていたボイさんが噴出していた。そのボイさんを
捕まえて
「あの、一寸御願いしてもいいかな」
「はい、なんでしょうか」
「済まないが、極薄いヰスキイの水割りを呉れないかな。喉が乾いて仕舞ってね」
「お水ならそこにお出ししてありますけど」
「水じゃ調子が出ないんだよ」
「そうですね(笑)、畏まりました」
運んできてくれたグラスを早速一口。さっきまで緊張して締付けられるようだった胸
の辺りが、ヰスキイのお蔭で段々と広くなって来た。
さて、一丁喋ろうか。
打ち合わせ通り、宴会場のチーフから開演準備完了の合図が出されるのを待っ
ていたが、なかなかそれが無い。仕方なくマイクの前でじっとしていた。その時間
の長かったこと……。このまま茲で、あたしゃ年とっちゃうぞ、と文句言おうかと思
っていたら、チーフが寄って来て
「済みません、準備が遅れまして……それでは、御願い致します」
「はい、解りました」
―間もなく開宴で御座います。ロビーにお出での方はお席にお着き下さいませ―
さて、今日は茲迄。お楽しみは又明日(笑)。
(つづく)
by yufuin-brothers | 2007-04-16 23:16 | 音楽よもやま話