指揮台までの階段
2007年 04月 09日
兄弟!
どうして桜の時期というのは天候が不順なんだろうか。我等が故郷、ゆふいん
はいざ知らず、東都は華を散らす涙雨。どうせなら雪のほうが風流なのに……。
江戸の古川柳に
「花にめで月に浮かれて追出され」
と、云うのがある。痛いね、こりゃ(笑)
昨日の日曜日、麗らかな花見日和を背に(そりゃ、ホントは、玉杯に華うけて酔
郷に遊びたかったが)、残り少なな親戚を殺して(笑)八王子の山中、我が母校の
学生オケを指揮棒でいじめて来ました。
曲はM・ブルッフの小提琴(ヴァイオリンの事ね)協奏曲第一番ト短調Op26だ。
来る30日に本番を迎えるこの曲の下稽古を付けて来た訳(この写真は、打楽器
の後輩、最近めきめきと腕を上げているNさん撮影による。多謝)。
今日は取っておき、アンバサタが指揮台に立つまでの過程をご披露しよう(これ
は飽くまでアマチュアのお話です。本職の方や内情に通じている方、笑って許し
てやってくださいましよ!笑)。
①スコア(総譜)の研究
正直、こいつが一番しんどい。先ず曲の構造や、調性分析を充分にしなければ
ならない。仮令、間違っていても自分が納得出来るまで、スコアと睨めっこする。
こうして何度か一曲を通読していると、その内何か見えてくる。でもそれは未だ漠
然としていて、目の前に霧がかかっていて実態がはっきりしない。
で、ピアノが弾けないアンバサタは、下手とはいえバイオリンを片手に旋律を弾
いてみたり、それを支える伴奏の音を拾ってみたり。こうすると、少しは今研究し
ている音の実際が身近になる。でもこれは飽くまで「音」。まだ音楽ではない。
②歌う
やっとお近づきになれた音を今度は声を出して歌う。馬鹿馬鹿しい、楽譜に書
いてあるじゃねぇか、と思われるかも知れないけど、俺はその「音」が音楽になる
まで歌う。
「ひとりさかばでのむさけはわかれなみだのあじがする」
これじゃ、何だか解らないでしょ。だから自ら歌いこむことで
「ひーとーり、さかーばでー、でのーむさーけは。わーかーれ、なーみぃだーの、
あぁぁじがするぅー」
こうして旋律があり、伴奏や、合いの手がどう入るべきかを身を以って知る。要は
「音」に呼吸をさせることによって(後の歌詞に句読点が付いていることに注意)、自
分の中にある「音楽」に少しでも近づくことが出来るようにする。これはアンバサタ
が楽器からではなく、歌から音楽の世界に入ったからかも知れないが。
③指揮出来る様に楽譜を設計図化する
①~②の行程を踏まえ、実際に指揮出来るように必用事項を書き込んだり、振る
際にどこへ指示をださなくちゃならないかを明確にする。つまり、楽譜を図案化する
って事かな。
よくプロの方は暗譜で指揮をしていが、その姿をみると、矢張り「プロ」の凄さを感
じる。記憶力に全く自信が無いアンバサタはどうしてもこうやっった楽譜がないと指
揮できない。前に何度か暗譜で指揮してみたけど、振り間違えないように、指示を
出し間違えないように、ということで頭がいっぱいで、それ以上のことは(それ以上
とはアマのくせに生意気だよね。笑)出来なかった。
④やっと指揮台に立つ
きちんとした服装、万全の体調で指揮台に立ち、先ずすることは以前のブログに
書いたようなこと。くだらない話しをして、奏者にリラックスしてもらう。そうして遣り
やすい雰囲気を作って、いざ!
指揮台たったら、ある程度の暴君にならなきゃいけない、と思う。時には怒り、時
には奏者を誉め、時には窘め、時には大声を張り上げ……。そうなれるように今ま
での行程が絶対に必用なんだな。
彼の大指揮者、C・ミュンシュは著書の中で
「よい指揮者は、可能な限り書斎での時間を取るものだ」
なんて、いっている。ホントにその通りだとおもうね。
指揮棒を振りまわして2時間以上。練習もそうだが、本番は尚更、疲労困憊甚だし
い。汗はだくだく、頭は酸欠で朦朧とし、脈拍は常に100以上は優に超えている。こ
んなに骨を折っても演奏が駄目な時は駄目。今日はよかったな、と思うのは稀で、
アンバサタとしては今までに数回しかない。そんな話しを指揮の師匠にしたら
「だから指揮者って孤独な商売なんだよ。君、間違ってもプロになろうなんて考えな
い方がいい」
なんて、云われたことがあったっけ。芸の道はどこも厳しい。
あ、今使っている指揮棒の写真を。これおまけね。
指揮って、ほんと楽しいけど、辛いことの方が多い。でも、その魅力に取憑かれると
止められない……。みんなも御注意あれ!(笑)
どうして桜の時期というのは天候が不順なんだろうか。我等が故郷、ゆふいん
はいざ知らず、東都は華を散らす涙雨。どうせなら雪のほうが風流なのに……。
江戸の古川柳に
「花にめで月に浮かれて追出され」
と、云うのがある。痛いね、こりゃ(笑)
昨日の日曜日、麗らかな花見日和を背に(そりゃ、ホントは、玉杯に華うけて酔
郷に遊びたかったが)、残り少なな親戚を殺して(笑)八王子の山中、我が母校の
学生オケを指揮棒でいじめて来ました。
曲はM・ブルッフの小提琴(ヴァイオリンの事ね)協奏曲第一番ト短調Op26だ。
来る30日に本番を迎えるこの曲の下稽古を付けて来た訳(この写真は、打楽器
の後輩、最近めきめきと腕を上げているNさん撮影による。多謝)。
今日は取っておき、アンバサタが指揮台に立つまでの過程をご披露しよう(これ
は飽くまでアマチュアのお話です。本職の方や内情に通じている方、笑って許し
てやってくださいましよ!笑)。
①スコア(総譜)の研究
正直、こいつが一番しんどい。先ず曲の構造や、調性分析を充分にしなければ
ならない。仮令、間違っていても自分が納得出来るまで、スコアと睨めっこする。
こうして何度か一曲を通読していると、その内何か見えてくる。でもそれは未だ漠
然としていて、目の前に霧がかかっていて実態がはっきりしない。
で、ピアノが弾けないアンバサタは、下手とはいえバイオリンを片手に旋律を弾
いてみたり、それを支える伴奏の音を拾ってみたり。こうすると、少しは今研究し
ている音の実際が身近になる。でもこれは飽くまで「音」。まだ音楽ではない。
②歌う
やっとお近づきになれた音を今度は声を出して歌う。馬鹿馬鹿しい、楽譜に書
いてあるじゃねぇか、と思われるかも知れないけど、俺はその「音」が音楽になる
まで歌う。
「ひとりさかばでのむさけはわかれなみだのあじがする」
これじゃ、何だか解らないでしょ。だから自ら歌いこむことで
「ひーとーり、さかーばでー、でのーむさーけは。わーかーれ、なーみぃだーの、
あぁぁじがするぅー」
こうして旋律があり、伴奏や、合いの手がどう入るべきかを身を以って知る。要は
「音」に呼吸をさせることによって(後の歌詞に句読点が付いていることに注意)、自
分の中にある「音楽」に少しでも近づくことが出来るようにする。これはアンバサタ
が楽器からではなく、歌から音楽の世界に入ったからかも知れないが。
③指揮出来る様に楽譜を設計図化する
①~②の行程を踏まえ、実際に指揮出来るように必用事項を書き込んだり、振る
際にどこへ指示をださなくちゃならないかを明確にする。つまり、楽譜を図案化する
って事かな。
よくプロの方は暗譜で指揮をしていが、その姿をみると、矢張り「プロ」の凄さを感
じる。記憶力に全く自信が無いアンバサタはどうしてもこうやっった楽譜がないと指
揮できない。前に何度か暗譜で指揮してみたけど、振り間違えないように、指示を
出し間違えないように、ということで頭がいっぱいで、それ以上のことは(それ以上
とはアマのくせに生意気だよね。笑)出来なかった。
④やっと指揮台に立つ
きちんとした服装、万全の体調で指揮台に立ち、先ずすることは以前のブログに
書いたようなこと。くだらない話しをして、奏者にリラックスしてもらう。そうして遣り
やすい雰囲気を作って、いざ!
指揮台たったら、ある程度の暴君にならなきゃいけない、と思う。時には怒り、時
には奏者を誉め、時には窘め、時には大声を張り上げ……。そうなれるように今ま
での行程が絶対に必用なんだな。
彼の大指揮者、C・ミュンシュは著書の中で
「よい指揮者は、可能な限り書斎での時間を取るものだ」
なんて、いっている。ホントにその通りだとおもうね。
指揮棒を振りまわして2時間以上。練習もそうだが、本番は尚更、疲労困憊甚だし
い。汗はだくだく、頭は酸欠で朦朧とし、脈拍は常に100以上は優に超えている。こ
んなに骨を折っても演奏が駄目な時は駄目。今日はよかったな、と思うのは稀で、
アンバサタとしては今までに数回しかない。そんな話しを指揮の師匠にしたら
「だから指揮者って孤独な商売なんだよ。君、間違ってもプロになろうなんて考えな
い方がいい」
なんて、云われたことがあったっけ。芸の道はどこも厳しい。
あ、今使っている指揮棒の写真を。これおまけね。
指揮って、ほんと楽しいけど、辛いことの方が多い。でも、その魅力に取憑かれると
止められない……。みんなも御注意あれ!(笑)
by yufuin-brothers | 2007-04-09 23:50 | 音楽よもやま話