六つの国歌
2007年 04月 05日
兄弟!
昨日はゆふいん、今日は東京の桜がある風景を。
古の柳営、今は宮城たる千代田城。その三十六見附の一、田安御門なる夜桜
を先ずは御覧あれ。
漆喰に映える薄紅色……と、云いたいが、どうも最近の桜は色味が足りない気
がしてならない。一昔前はもう少し赤みを帯びていた様な気がする。環境破壊や、
異常気象といた人間の身勝手な振る舞いに、桜も飽きれて白けているのかもね。
花に浮かれて、ふらふらと九段下まで来たのでなく、今夜と明日、アンバサタはこ
の門を潜ったところにある日本武道館でVnを弾きに来たのでした。
残念ですが、ソロじゃありません(当たり前だが。笑)。我が母校の入学式で、我が
古巣の学生オケが演奏するので、その御手伝いという塩梅。
先ず、3日の夜にGP(ゲネラル・プロ―べ、邦訳せば“総練習”といったところか)
で、4日の朝から二回も本番がある。演奏する曲は、マイヤベ―アの歌劇『預言者』
から“戴冠式行進曲”で始まり、日本、イギリス、アメリカ、オランダ、中国、マレーシ
アの各国歌。そして校歌とエルガー行進曲『威風堂々』から第一番という内容であり
ました。
多分、この入学式で演奏しなかったら、一生出会わなかったであろう曲の一つが
この『マレーシア国歌』。
最初の2小節は小太鼓と大太鼓のみ、で、一拍休んで、ド~ド~ラ~ファ~と旋律
楽器が入ってくる。へ長調という調性もあって柔らかく伸び伸びした国歌です。きっ
とマレーシアの人達はみーんな喧嘩なんかしないんだろうな、と思いたくなる曲想
です。
これもここで演奏しなかったら知ることもなかったであろう『中華人民共和国国歌』
。最初の4小節は軍隊の突撃信号を彷彿とさせるトランペットが鳴り響きます。それ
もその筈、楽譜の頭には『tempo di marcia』(行進曲のテンポで)と明記されてい
るし、ト長調という調性も相俟って、全篇に渡り勇ましい。先程のマレーシアとは対極
にある国歌でした。
全部で六つの国歌を演奏したわけですが、一番難しいのは、と聞かれたらアンバサ
タは『日本』と即答します。現在、広く演奏されている日本国歌は、近衛秀麿の編曲
によるものです。近衛さんに文句を付ける気は無いのですが、先ず、調性がハ長調
……と、云うことはよーく響くから音程に余程注意しないと音が濁る。それに最初の2
小節、レードーレーミーソーミーレー迄を“sul G”、即ち、一本の弦で演奏しなければ
ならない。これで尚、音程を正確にとるのはアマとしては至難の技。それにテンポが
遅いので誤魔化しが利かない。
日本でも敬愛された大指揮者、K・ベーム翁がヴィ―ン・フィルを率いて初来日し、
そのコンサートの冒頭で、日本とオーストリアの国家を演奏することになりました。
さて、その練習の最中、ベーム翁が指揮をし乍、日本の関係者を捕まえては頻り
に
「本当にこのテンポでいいのか。遅すぎるのではないか」
と繰り返し尋ねたそうです。
国歌って難しい……。
昨日はゆふいん、今日は東京の桜がある風景を。
古の柳営、今は宮城たる千代田城。その三十六見附の一、田安御門なる夜桜
を先ずは御覧あれ。
漆喰に映える薄紅色……と、云いたいが、どうも最近の桜は色味が足りない気
がしてならない。一昔前はもう少し赤みを帯びていた様な気がする。環境破壊や、
異常気象といた人間の身勝手な振る舞いに、桜も飽きれて白けているのかもね。
花に浮かれて、ふらふらと九段下まで来たのでなく、今夜と明日、アンバサタはこ
の門を潜ったところにある日本武道館でVnを弾きに来たのでした。
残念ですが、ソロじゃありません(当たり前だが。笑)。我が母校の入学式で、我が
古巣の学生オケが演奏するので、その御手伝いという塩梅。
先ず、3日の夜にGP(ゲネラル・プロ―べ、邦訳せば“総練習”といったところか)
で、4日の朝から二回も本番がある。演奏する曲は、マイヤベ―アの歌劇『預言者』
から“戴冠式行進曲”で始まり、日本、イギリス、アメリカ、オランダ、中国、マレーシ
アの各国歌。そして校歌とエルガー行進曲『威風堂々』から第一番という内容であり
ました。
多分、この入学式で演奏しなかったら、一生出会わなかったであろう曲の一つが
この『マレーシア国歌』。
最初の2小節は小太鼓と大太鼓のみ、で、一拍休んで、ド~ド~ラ~ファ~と旋律
楽器が入ってくる。へ長調という調性もあって柔らかく伸び伸びした国歌です。きっ
とマレーシアの人達はみーんな喧嘩なんかしないんだろうな、と思いたくなる曲想
です。
これもここで演奏しなかったら知ることもなかったであろう『中華人民共和国国歌』
。最初の4小節は軍隊の突撃信号を彷彿とさせるトランペットが鳴り響きます。それ
もその筈、楽譜の頭には『tempo di marcia』(行進曲のテンポで)と明記されてい
るし、ト長調という調性も相俟って、全篇に渡り勇ましい。先程のマレーシアとは対極
にある国歌でした。
全部で六つの国歌を演奏したわけですが、一番難しいのは、と聞かれたらアンバサ
タは『日本』と即答します。現在、広く演奏されている日本国歌は、近衛秀麿の編曲
によるものです。近衛さんに文句を付ける気は無いのですが、先ず、調性がハ長調
……と、云うことはよーく響くから音程に余程注意しないと音が濁る。それに最初の2
小節、レードーレーミーソーミーレー迄を“sul G”、即ち、一本の弦で演奏しなければ
ならない。これで尚、音程を正確にとるのはアマとしては至難の技。それにテンポが
遅いので誤魔化しが利かない。
日本でも敬愛された大指揮者、K・ベーム翁がヴィ―ン・フィルを率いて初来日し、
そのコンサートの冒頭で、日本とオーストリアの国家を演奏することになりました。
さて、その練習の最中、ベーム翁が指揮をし乍、日本の関係者を捕まえては頻り
に
「本当にこのテンポでいいのか。遅すぎるのではないか」
と繰り返し尋ねたそうです。
国歌って難しい……。
by yufuin-brothers | 2007-04-05 22:45 | 音楽よもやま話