『泣きの女王』in豊海小
2007年 03月 21日
兄弟!
今夜は先週金曜日、中央区はそぐそこに“レインボー・ブリッジ”が手に取る
様に見える絶好のビュー・サイトにある豊海小学校で催されたアウトリーチの
共有をしようか。
先ず、最近の小学校は出入りが厳しくて(そうさせたのは大人の所為)、イン
ターフォンで、開門を願わなくてはなりません。
「こんちわ。今日、四年生ののアウトリーチに御手伝いに来たTANサポーター
です」
「はい、ご苦労様です。スリッパに履き替えて受付にどうぞ」
それから受付へ赴き、窓口に広げられた帳面に必用事項を書き込み
「済みません、音楽室は何階ですか」
「スリッパに履き替えてください」
「はい、もうスリッパですけど」
「じゃ、スリッパに履き替えて三階にどうぞ」
「スリッパですけど」
どうも埒があかない。スリッパ好きの事務員さんに御辞儀をして三階へ
はい。普通の小学校です。中央区にありながら、何処でもある、ありふれ
小学校の光景でしょ。それが東都のど真中、中央区にあることに何となくほ
っとしたような、嬉しいような。
既に今日の演奏家、メゾ・ソプラノの菅家奈津子さん、ソプラノの佐藤恵利
さん、ピアノ伴奏の山崎朋子さんは、音楽室に隣接する音楽準備室に“楽屋
入り”を済ませていた。
事前に今日の担当であるTANのS女史から
「声楽家が声を休める15分間の間に、今日のテーマである『ヘンゼルとグレー
テル』の朗読をやりませんか」
と、言われて、アンバサタが拙き筆で台本を書いてきたのでした。午前11時30
分、次々とTANサポーター、即ち本日演る朗読劇の配役が揃ってきた
ヘンゼル …町田なるピアノの大先生、K女史
グレーテル…江東区の敏腕サポーター、Y女史
魔女 …月島の大編集者、吾等が若旦那
お父さん
お母さん
効果音
ナレーター…凡てアンバサタ
演出 …TANインターン・Y君
監督 …TAN・S女史
さて、役者がそろったところでアンバサタ苦心の台本の読み合わせが始まっ
た。うん、かなりいい感じです!とTANのS女史。朗読の稽古が終り、安心して
学校の専門家なる月島の若旦那と豊海小の各教室を見学に歩いた。
こんな合奏する専門の部屋があるくらい、この学校は音楽に力をいれている。
月島の若旦那も
「ほんと普通の学校ですね、はい」
お昼を回ったころ、音楽担当の先生が給食ですよ、と校長室へ案内してくれた。
二十年振りくらいの給食の味。アンバサタのみならず、演奏家も他のサポータ
ーさんも感慨一入で箸を運ぶ
「お残しはいけませんよ」
「牛乳……苦手だな」
「牛乳なんて贅沢よね。あたし達は脱脂粉乳……年がバレちゃうわね」
「あたし、小中とずーと御弁当だったんで給食初体験なんです!嬉しいわぁ」
腹ごしらえも出来て、いざアウトリーチに突入。全四年生、約40人が音楽室に
集まってきた。そこに歌姫二人と伴奏者、都合三人の美女が入場。
先ずは馴染みの深い春夏秋冬の唄をお二人が代わる代わる披露する。そして
ちょっと難しいかな?と子供達に問いかけつつ白秋作詞の『初恋』という歌曲を菅
家さんがしみじみ歌う。
この菅家さん、とても子供あしらいが上手い。それに彼女のお喋りは大人が聞
いていてもとても楽しい。直ぐに眼前にいる40人の気持ちをしっかり掴んでいた。
「ちょっとお姉さん達は休憩します。その間、とっても楽しいことが起こるようです
よ!」
さて、吾等の出番です。子供達は、何が始まるんだろう、と前に出てきた4人の
大人に注目している。そんな緊張感の中、アンバサタは徐に
「朗読、ヘンゼルとグレーテル……」
と始める。いやー、皆さん役者ですよ。特に月島の若旦那なる「魔女」の
凄みは子供達をして息を飲ませていました。
約10分。無事朗読も子供達からの大きな拍手によって幕になった。その場に
いた、TANのM口ディレクターによれば、歌姫二人のマネージャーさんから
「この4人、うちの事務所に売りませんか?」
なんて言われたとか、言われなかったとか(笑)。
さて戻って来た歌姫二人はさっきと打って変わってラフな装い。これから子供
達と一緒にプンパーディンクのオペラ『ヘンゼルとグレーテル』の一節を歌って
踊ろう、という体験がはじまった。
子供達は元気一杯に男の子はヘンゼル、女の子はグレーテルのパートを歌
いながら、歌姫二人から演技指導をうける。ちょっとした練習を経て、みんなで
実演。数ではちょっと劣勢な男の子だったが、とっても大きな声で歌い、飛んだ
り跳ねたり。とっても楽しそうな顔をみて、大人達の相好も自然と崩れる。さて、
そうこうしている内に、このアウトリーチもお終いに近ずいてきた。
「今日はどうもありがとう。お姉さん達もとっても楽しかったよ。じゃ最後にお姉さ
ん二人からみんなに唄の贈り物をしようと思います」
先ず、ソプラノの佐藤さんがプッチーニ作曲、歌劇『ジャンニ・スキッキ』から、
アリア“私のお父さん”を熱唱。さっきまで一緒に歌ったり、踊ったりしていたお姉
さんのプロとしての凄さに子供達はお口をあんぐり。アンバサタも思わず「ブラボ
ー」と叫んでしまった。
次に、菅家さんが同じくプッチーニの歌劇『トゥーラン・ドット』から“誰も寝ては
ならぬ”を。あれ?っとおもった兄弟はは正解。このアリアは本来、男性が歌うも
の。でも菅家さんは持ち前の声域の広さを駆使して歌ってしまうのです!その歌
唱といったら!正に絶唱。力の有らん限りを搾り出し、最後の高音まで見
事に決めた。聞き終わり、俺は思わず涙が出、自然と起立して大拍手を送ってい
る。それをみた子供達は不思議そうだったが、彼等なにりも感動で心が奮えてい
るのが表情からありありと解る。
菅家さんのマネージャーさん(そ、俺達4人を買いたい、って言った人。笑)は
彼女を評して
『泣きの女王』といっていた。正にその言葉そのままの“誰も寝てはならぬ”だった。
彼女自身も興奮し、感動してうっすらと涙を浮かべている。
そんな現場を観覧していたTANの理事長が
「今日のアウトリーチは私が今まで見てきた中で、五本の指にはいる」
と豪語していたとか。俺も理事長に心から賛同する。
そう、こういう『本物』を子供達には見せるべきだ、と強く思う。
今夜は先週金曜日、中央区はそぐそこに“レインボー・ブリッジ”が手に取る
様に見える絶好のビュー・サイトにある豊海小学校で催されたアウトリーチの
共有をしようか。
先ず、最近の小学校は出入りが厳しくて(そうさせたのは大人の所為)、イン
ターフォンで、開門を願わなくてはなりません。
「こんちわ。今日、四年生ののアウトリーチに御手伝いに来たTANサポーター
です」
「はい、ご苦労様です。スリッパに履き替えて受付にどうぞ」
それから受付へ赴き、窓口に広げられた帳面に必用事項を書き込み
「済みません、音楽室は何階ですか」
「スリッパに履き替えてください」
「はい、もうスリッパですけど」
「じゃ、スリッパに履き替えて三階にどうぞ」
「スリッパですけど」
どうも埒があかない。スリッパ好きの事務員さんに御辞儀をして三階へ
はい。普通の小学校です。中央区にありながら、何処でもある、ありふれ
小学校の光景でしょ。それが東都のど真中、中央区にあることに何となくほ
っとしたような、嬉しいような。
既に今日の演奏家、メゾ・ソプラノの菅家奈津子さん、ソプラノの佐藤恵利
さん、ピアノ伴奏の山崎朋子さんは、音楽室に隣接する音楽準備室に“楽屋
入り”を済ませていた。
事前に今日の担当であるTANのS女史から
「声楽家が声を休める15分間の間に、今日のテーマである『ヘンゼルとグレー
テル』の朗読をやりませんか」
と、言われて、アンバサタが拙き筆で台本を書いてきたのでした。午前11時30
分、次々とTANサポーター、即ち本日演る朗読劇の配役が揃ってきた
ヘンゼル …町田なるピアノの大先生、K女史
グレーテル…江東区の敏腕サポーター、Y女史
魔女 …月島の大編集者、吾等が若旦那
お父さん
お母さん
効果音
ナレーター…凡てアンバサタ
演出 …TANインターン・Y君
監督 …TAN・S女史
さて、役者がそろったところでアンバサタ苦心の台本の読み合わせが始まっ
た。うん、かなりいい感じです!とTANのS女史。朗読の稽古が終り、安心して
学校の専門家なる月島の若旦那と豊海小の各教室を見学に歩いた。
こんな合奏する専門の部屋があるくらい、この学校は音楽に力をいれている。
月島の若旦那も
「ほんと普通の学校ですね、はい」
お昼を回ったころ、音楽担当の先生が給食ですよ、と校長室へ案内してくれた。
二十年振りくらいの給食の味。アンバサタのみならず、演奏家も他のサポータ
ーさんも感慨一入で箸を運ぶ
「お残しはいけませんよ」
「牛乳……苦手だな」
「牛乳なんて贅沢よね。あたし達は脱脂粉乳……年がバレちゃうわね」
「あたし、小中とずーと御弁当だったんで給食初体験なんです!嬉しいわぁ」
腹ごしらえも出来て、いざアウトリーチに突入。全四年生、約40人が音楽室に
集まってきた。そこに歌姫二人と伴奏者、都合三人の美女が入場。
先ずは馴染みの深い春夏秋冬の唄をお二人が代わる代わる披露する。そして
ちょっと難しいかな?と子供達に問いかけつつ白秋作詞の『初恋』という歌曲を菅
家さんがしみじみ歌う。
この菅家さん、とても子供あしらいが上手い。それに彼女のお喋りは大人が聞
いていてもとても楽しい。直ぐに眼前にいる40人の気持ちをしっかり掴んでいた。
「ちょっとお姉さん達は休憩します。その間、とっても楽しいことが起こるようです
よ!」
さて、吾等の出番です。子供達は、何が始まるんだろう、と前に出てきた4人の
大人に注目している。そんな緊張感の中、アンバサタは徐に
「朗読、ヘンゼルとグレーテル……」
と始める。いやー、皆さん役者ですよ。特に月島の若旦那なる「魔女」の
凄みは子供達をして息を飲ませていました。
約10分。無事朗読も子供達からの大きな拍手によって幕になった。その場に
いた、TANのM口ディレクターによれば、歌姫二人のマネージャーさんから
「この4人、うちの事務所に売りませんか?」
なんて言われたとか、言われなかったとか(笑)。
さて戻って来た歌姫二人はさっきと打って変わってラフな装い。これから子供
達と一緒にプンパーディンクのオペラ『ヘンゼルとグレーテル』の一節を歌って
踊ろう、という体験がはじまった。
子供達は元気一杯に男の子はヘンゼル、女の子はグレーテルのパートを歌
いながら、歌姫二人から演技指導をうける。ちょっとした練習を経て、みんなで
実演。数ではちょっと劣勢な男の子だったが、とっても大きな声で歌い、飛んだ
り跳ねたり。とっても楽しそうな顔をみて、大人達の相好も自然と崩れる。さて、
そうこうしている内に、このアウトリーチもお終いに近ずいてきた。
「今日はどうもありがとう。お姉さん達もとっても楽しかったよ。じゃ最後にお姉さ
ん二人からみんなに唄の贈り物をしようと思います」
先ず、ソプラノの佐藤さんがプッチーニ作曲、歌劇『ジャンニ・スキッキ』から、
アリア“私のお父さん”を熱唱。さっきまで一緒に歌ったり、踊ったりしていたお姉
さんのプロとしての凄さに子供達はお口をあんぐり。アンバサタも思わず「ブラボ
ー」と叫んでしまった。
次に、菅家さんが同じくプッチーニの歌劇『トゥーラン・ドット』から“誰も寝ては
ならぬ”を。あれ?っとおもった兄弟はは正解。このアリアは本来、男性が歌うも
の。でも菅家さんは持ち前の声域の広さを駆使して歌ってしまうのです!その歌
唱といったら!正に絶唱。力の有らん限りを搾り出し、最後の高音まで見
事に決めた。聞き終わり、俺は思わず涙が出、自然と起立して大拍手を送ってい
る。それをみた子供達は不思議そうだったが、彼等なにりも感動で心が奮えてい
るのが表情からありありと解る。
菅家さんのマネージャーさん(そ、俺達4人を買いたい、って言った人。笑)は
彼女を評して
『泣きの女王』といっていた。正にその言葉そのままの“誰も寝てはならぬ”だった。
彼女自身も興奮し、感動してうっすらと涙を浮かべている。
そんな現場を観覧していたTANの理事長が
「今日のアウトリーチは私が今まで見てきた中で、五本の指にはいる」
と豪語していたとか。俺も理事長に心から賛同する。
そう、こういう『本物』を子供達には見せるべきだ、と強く思う。
by yufuin-brothers | 2007-03-21 14:18 | アウトリーチ探検記