ぶるぶるしながらのブリテン
2007年 02月 02日
兄弟!
はっくっしょーん!!咳、鼻水……ぶるぶるっっ。さ、寒い。
あーあ、アンバサタは風邪をひきました。だって珍しくお酒が美味しくないん
だもん。こりゃいけませんな……と云いつつ熱燗と鍋焼きうどんで鋭気を養い
つつキーボードを打ち始めると、なんだか変。何故か『Delete』キーが反応し
ない。強く叩いても、誉めても、祈っても機能せず。どうやらPCまで風邪っぴ
きらしい(笑)。でも『Backspace』キーを駆使して何とか今日も兄弟・姉妹に
御挨拶。
こんばんにゃ……へっ、へっ、へっくしょんっっ!!(あ、キーが直った!)
さて、昨日も書いたようにTAN/第一生命ホール主催、クァクテット・ウェンズ
デイ第53回、カルテット・エクセルシオによる演奏会、その名も『ラボ・
エクセルシオ 世界めぐりvol、6 イギリス編』と銘打ったものに行って来ました。
曲目はと見やれば
エルガー:弦楽四重奏曲ホ短調op.83
ブリテン:弦楽四重奏曲第一番ニ短調op.25
ディーリアス;弦楽四重奏曲第二番「去りゆくツバメ」
特に、ブリテンは凄かったよ!先ず、作曲者とこの曲の誕生した背景を紹介
しようか。
B・ブリテン(1913~1976)は二つの大戦時代において、自身の人道的、宗
教的立場から平和主義を心情とした現代イギリスを代表する作曲家(代表的作
品は、歌劇『ピーター・グライムズ』や、『青少年のための管弦楽入門』、『戦争レ
クイエム』など)。彼の音楽はどちらかというと保守的な色合いが濃いが、前衛
音楽への志向もあったらしく、その旗手であった独逸のアルバン・ベルグに弟子
入りを望んでいたが当人の死などで果たせなかったという。
このクァルテットが書かれた1941年当時、勃発ていた第二時大戦へ、その信
念から不参戦を徹す為にアメリカへ居を移した(因みに、彼が帰国後、事実上の
兵役拒否であったにも関わらず、英国政府はこれを「良心的兵役拒否」として許
した)。
みんなはピカソの大作「ゲルニカ」を見たことあると思う。
ピカソ作『ゲルニカ』
まさにブリテンのクァルテットNo1はこれそのもの。冒頭からして異様。
山尾敦史さんによるプログラムノートには『繊細な祈りを思わせる冒頭』と書い
てあったけど、オイラにとってこの物凄い不響和音からは、当時の一般市民が
感じざるを得なかった『負の感情』が渦を巻いているとしか思えない。その元凶
が戦争にあることは云うまでもない。ピカソの『ゲルニカ』と同じように。
人間は極度の不安を感じると、そのどこへも持って行き様のない焦燥感から
異常なまでのエネルギーが噴出し、人々はそれに憑かれたように踊り出す。日
本でいえば、世情の混乱が極に達した幕末、突如発生した『えーじゃないか』
であったり、日中戦争の軍靴の音が段々と暗い影を落とし始めた時に捲起った
『東京音頭』の全国的な大流行であったりと……その『不健全な狂気』と言って
良い大衆心理が曲中に漲っている。正直、聞いていて怖かったし、曲が進むに
つれ気持ち悪くなってきた。
オイラは常々、音楽が生み出す感動とは『陰』と『陽』があると思っている。どち
らにせよ、その感動が深ければ深い程、受容する聴衆に激しい意識の移行を促
す。唯、それが戦慄なのか興奮なのかの違いがあるだけだ。だから、エクの演
奏を聞いて、気持ち悪くなったり、耳を塞ぎたくなったりしたのは、心臓が爆発し
そうなまでに白熱し、手に汗握っているのと全く変わらない。
長くなったけどエクのブリテンはそこまで『大演奏』だったということなんです
(因みにアンバサタとしては、ホルストの『惑星』でも素晴らしい演奏ならそれだ
け同じ現象に陥る)。
お蔭さんで、休憩後に演奏されたディーリアスの、普段は5分と聞かずに飽き
てしまう音楽を最後迄堪能出来たし、アンコールの『愛の挨拶』では心から伸び
伸びできました。
むむ、恐るべしカルテット・エクセルシオ!!!
はっくっしょーん!!咳、鼻水……ぶるぶるっっ。さ、寒い。
あーあ、アンバサタは風邪をひきました。だって珍しくお酒が美味しくないん
だもん。こりゃいけませんな……と云いつつ熱燗と鍋焼きうどんで鋭気を養い
つつキーボードを打ち始めると、なんだか変。何故か『Delete』キーが反応し
ない。強く叩いても、誉めても、祈っても機能せず。どうやらPCまで風邪っぴ
きらしい(笑)。でも『Backspace』キーを駆使して何とか今日も兄弟・姉妹に
御挨拶。
こんばんにゃ……へっ、へっ、へっくしょんっっ!!(あ、キーが直った!)
さて、昨日も書いたようにTAN/第一生命ホール主催、クァクテット・ウェンズ
デイ第53回、カルテット・エクセルシオによる演奏会、その名も『ラボ・
エクセルシオ 世界めぐりvol、6 イギリス編』と銘打ったものに行って来ました。
曲目はと見やれば
エルガー:弦楽四重奏曲ホ短調op.83
ブリテン:弦楽四重奏曲第一番ニ短調op.25
ディーリアス;弦楽四重奏曲第二番「去りゆくツバメ」
特に、ブリテンは凄かったよ!先ず、作曲者とこの曲の誕生した背景を紹介
しようか。
B・ブリテン(1913~1976)は二つの大戦時代において、自身の人道的、宗
教的立場から平和主義を心情とした現代イギリスを代表する作曲家(代表的作
品は、歌劇『ピーター・グライムズ』や、『青少年のための管弦楽入門』、『戦争レ
クイエム』など)。彼の音楽はどちらかというと保守的な色合いが濃いが、前衛
音楽への志向もあったらしく、その旗手であった独逸のアルバン・ベルグに弟子
入りを望んでいたが当人の死などで果たせなかったという。
このクァルテットが書かれた1941年当時、勃発ていた第二時大戦へ、その信
念から不参戦を徹す為にアメリカへ居を移した(因みに、彼が帰国後、事実上の
兵役拒否であったにも関わらず、英国政府はこれを「良心的兵役拒否」として許
した)。
みんなはピカソの大作「ゲルニカ」を見たことあると思う。
ピカソ作『ゲルニカ』
まさにブリテンのクァルテットNo1はこれそのもの。冒頭からして異様。
山尾敦史さんによるプログラムノートには『繊細な祈りを思わせる冒頭』と書い
てあったけど、オイラにとってこの物凄い不響和音からは、当時の一般市民が
感じざるを得なかった『負の感情』が渦を巻いているとしか思えない。その元凶
が戦争にあることは云うまでもない。ピカソの『ゲルニカ』と同じように。
人間は極度の不安を感じると、そのどこへも持って行き様のない焦燥感から
異常なまでのエネルギーが噴出し、人々はそれに憑かれたように踊り出す。日
本でいえば、世情の混乱が極に達した幕末、突如発生した『えーじゃないか』
であったり、日中戦争の軍靴の音が段々と暗い影を落とし始めた時に捲起った
『東京音頭』の全国的な大流行であったりと……その『不健全な狂気』と言って
良い大衆心理が曲中に漲っている。正直、聞いていて怖かったし、曲が進むに
つれ気持ち悪くなってきた。
オイラは常々、音楽が生み出す感動とは『陰』と『陽』があると思っている。どち
らにせよ、その感動が深ければ深い程、受容する聴衆に激しい意識の移行を促
す。唯、それが戦慄なのか興奮なのかの違いがあるだけだ。だから、エクの演
奏を聞いて、気持ち悪くなったり、耳を塞ぎたくなったりしたのは、心臓が爆発し
そうなまでに白熱し、手に汗握っているのと全く変わらない。
長くなったけどエクのブリテンはそこまで『大演奏』だったということなんです
(因みにアンバサタとしては、ホルストの『惑星』でも素晴らしい演奏ならそれだ
け同じ現象に陥る)。
お蔭さんで、休憩後に演奏されたディーリアスの、普段は5分と聞かずに飽き
てしまう音楽を最後迄堪能出来たし、アンコールの『愛の挨拶』では心から伸び
伸びできました。
むむ、恐るべしカルテット・エクセルシオ!!!
by yufuin-brothers | 2007-02-02 17:15 | 演奏会ア・ラ・カルト