母の入院
2009年 01月 13日
兄弟!
母が本日より入院する。病名は乳癌。
何でも乳房に6ミリの腫瘍があり、その中に癌細胞が含まれているらしい。と云うのも旧年、其処へ針を刺し、中の組織を取り出す検査を数度行ったものの、癌細胞は検出されなかった。然し主治医曰く
「針の先が癌細胞へヒットしなかったのでしょう。何故なら、こうして患部の写真を見ると乳癌の可能性が非常に高いのです」
故に、その6ミリのしこりを全て切り取り、直接検査をするに爾ず、と云う事になり、明日の摘出手術を前に病院へ出頭することになった。
こな親不孝者め、との謗りを受けるかも知れないが、私は余り母の病状を心配をしていない。だって命に関わりそうな病状ではないし、仮令癌細胞が見つかったとしても極初期であろうから、その病巣を引っこ抜けばそれで御仕舞い。抗癌剤や、その他の治療を施さなくても済むでしょう、と云う医者の見立てに疑問の余地がないからだ。それよりもとうちゃん、かあちゃんで経営しているマニュファクチュア、我が実家なるA屋クリーニング店の方が御難儀で、母が退院して来る迄、放蕩息子たるアンバサダーを代行として臨時雇用し、御台所方としてもおさんどんをさせるらしい。止むを得なければ止むを得ないので、その間、私の本業はお休み。束の間の親孝行と洒落込んでアイロンを握り、しゃもじと擂り粉木で父親の深酒を窘めつつ家業と家政を円滑に切り盛りしようと思う。
どうせ代わりを勤めるのであれば母の乳癌を引き受けようか、と考えたが、私のではその役に立たないだろうし、不摂生を重ねて来た私の事だから、他の疾病で更なる療養を強いられそうである。病院へ行って病気になってはお医者の手前もあるし、それが為に別口の入院となったら、私の代わりを誰かに……そんな奇特な御仁が居る訳がない。
君子、危うきに近付かず。然し、私の母の名は「まり子」である。
母が本日より入院する。病名は乳癌。
何でも乳房に6ミリの腫瘍があり、その中に癌細胞が含まれているらしい。と云うのも旧年、其処へ針を刺し、中の組織を取り出す検査を数度行ったものの、癌細胞は検出されなかった。然し主治医曰く
「針の先が癌細胞へヒットしなかったのでしょう。何故なら、こうして患部の写真を見ると乳癌の可能性が非常に高いのです」
故に、その6ミリのしこりを全て切り取り、直接検査をするに爾ず、と云う事になり、明日の摘出手術を前に病院へ出頭することになった。
こな親不孝者め、との謗りを受けるかも知れないが、私は余り母の病状を心配をしていない。だって命に関わりそうな病状ではないし、仮令癌細胞が見つかったとしても極初期であろうから、その病巣を引っこ抜けばそれで御仕舞い。抗癌剤や、その他の治療を施さなくても済むでしょう、と云う医者の見立てに疑問の余地がないからだ。それよりもとうちゃん、かあちゃんで経営しているマニュファクチュア、我が実家なるA屋クリーニング店の方が御難儀で、母が退院して来る迄、放蕩息子たるアンバサダーを代行として臨時雇用し、御台所方としてもおさんどんをさせるらしい。止むを得なければ止むを得ないので、その間、私の本業はお休み。束の間の親孝行と洒落込んでアイロンを握り、しゃもじと擂り粉木で父親の深酒を窘めつつ家業と家政を円滑に切り盛りしようと思う。
どうせ代わりを勤めるのであれば母の乳癌を引き受けようか、と考えたが、私のではその役に立たないだろうし、不摂生を重ねて来た私の事だから、他の疾病で更なる療養を強いられそうである。病院へ行って病気になってはお医者の手前もあるし、それが為に別口の入院となったら、私の代わりを誰かに……そんな奇特な御仁が居る訳がない。
君子、危うきに近付かず。然し、私の母の名は「まり子」である。
by yufuin-brothers | 2009-01-13 23:18 | アンバサダー随感録