ロックンロール探訪-その壱-
2007年 08月 08日
兄弟!
土曜日のお昼、携帯が着信音なるガーシュインを奏で始めた。
「どうも、ゆふいんのK下です」
「これは、これは。先日は大変お世話になりました」
「此方こそ、お疲れ様でした。処でアンバサタ―君、本日夕方の予定は」
「と、仰いますと」
「はい。私、これから東京に向かいます。で、今夜、友人のライブがあるんです。是非
御一緒にと思いまして」
「それはそれは。喜んでお供致します。」
「では、午後5時位に、恵比寿まで来てくれますか」
先日湯布院でも大暴れした台風の置き土産で、東京が砂漠になるのではないかと心配
する程の酷暑の中、恵比寿でK下さん、即ちジープ兄ちゃんを待った。暫くすると、近くの
ビジネス・ホテルのラウンジまで来てください、とK下さんからの指示。云われるが侭にそ
の場所へ行くと……。
いたいた。紛れも無く、K下さんである。
それも驚く莫れ、湯布院で見た侭のK下さんである。
「どうも、お呼び出ししましてゴメンナサイ」
ささ、どうぞこちらへと招ぜられ、先ずは、と出されたのは言わずもがな……
まだ夕日も顔を出さぬ内からこの調子である。あり難く、嬉しい限りであるが、これからに
対し、一種の覚悟をしなければならない呼び水である様な気がした。でも、美味いことに
は変りはない。
さて、小一時間、コクテールを片手に談笑していると、K下さんが腕時計を一瞥。
「待ち合わせた友人が駅に着く時間です。アンバサタ―君、出ましょうか」
と恵比寿駅へ。
そこに現れたのは、某ロックバンドのベースシストUさん。K下さんにしても、Uさんにして
も年の割には(失礼!)スタイルが驚く程良い。贅肉なんか全く無し。小さめのシャツをピタ
ッと着て、細身のパンツで颯爽と闊歩してきた。
「始めまして、Uです」
このUさんの腰の低さはミュージシャンじゃ珍しいんだよ、とK下さんが云う様に、本当に
礼儀正しい好漢でありました。さて、まだ時間がありますから、ちょっと一杯遣りましょうか
と、駅前の焼鳥屋さんへ。
時間がある?ん?と思って尋ねると、Uさんも今夜のライブに出演されるんだとか。
まぁまぁ、先ずは乾杯ってことで、島らっきょうや、奴豆腐、焼鳥の盛り合わせと、三人の装
いからは及びも付かない様な渋い肴相手に杯を鳴らす。そんな肴の中に、K下さんがもう一
品添えたのでした。
「これ、このアンバサタ―君が歌ったレコードなんです」
と、先日、ゆふいんへ行った時、洒落に配ったおいらのレコードがUさんの手に渡る。
突如として興るは爆笑の渦。
「男の……やさい編ですか。お肉編やお魚編はないんですか」
「申し訳ありません、諸般の都合に因りまして……Uさん、もう止しましょうよ」
「うはははは。すげーなぁ」
傍でその遣り取りを見ているK下さんは大笑い。お蔭で初対面のUさんと打ち解けることが
出来た。
暫し、UさんとK下さんの熱いロック談義の後、ふと会話が止んだ。そうだ、とアンバサター
は鞄の中をごそごそ。
「Uさん、お近づきの印に、これ差し上げましょう。あたしの商売道具で恐縮なのですが」
「あ、扇子ですか。いいんですか貰っちゃって」
「どうぞ、どうぞ。なんたってこの夏は酷暑ですからね」
「有り難う御座います。へー、すげーなー(というのがUさんの口癖)これで蕎麦食べる真似
とかするんですよね」
「そうです。ちょいとお遣りになってみてください」
「こうですか」
「ええ、そんな塩梅ですよ」
「うーん、でもなんか違うなぁ」
そろそろ、と店を出て、ライブ会場まで歩くUさんはその道中ずーっと
「ズズズ…違うなぁ。ズズッズズズ…こうでもないなぁ」
と熱心にお稽古をしている。そんな可愛らしい方(失礼!)が、一度ステージに立つと、熱い
ロッカーに豹変するのです……。
その件は又明日。
土曜日のお昼、携帯が着信音なるガーシュインを奏で始めた。
「どうも、ゆふいんのK下です」
「これは、これは。先日は大変お世話になりました」
「此方こそ、お疲れ様でした。処でアンバサタ―君、本日夕方の予定は」
「と、仰いますと」
「はい。私、これから東京に向かいます。で、今夜、友人のライブがあるんです。是非
御一緒にと思いまして」
「それはそれは。喜んでお供致します。」
「では、午後5時位に、恵比寿まで来てくれますか」
先日湯布院でも大暴れした台風の置き土産で、東京が砂漠になるのではないかと心配
する程の酷暑の中、恵比寿でK下さん、即ちジープ兄ちゃんを待った。暫くすると、近くの
ビジネス・ホテルのラウンジまで来てください、とK下さんからの指示。云われるが侭にそ
の場所へ行くと……。
いたいた。紛れも無く、K下さんである。
それも驚く莫れ、湯布院で見た侭のK下さんである。
「どうも、お呼び出ししましてゴメンナサイ」
ささ、どうぞこちらへと招ぜられ、先ずは、と出されたのは言わずもがな……
まだ夕日も顔を出さぬ内からこの調子である。あり難く、嬉しい限りであるが、これからに
対し、一種の覚悟をしなければならない呼び水である様な気がした。でも、美味いことに
は変りはない。
さて、小一時間、コクテールを片手に談笑していると、K下さんが腕時計を一瞥。
「待ち合わせた友人が駅に着く時間です。アンバサタ―君、出ましょうか」
と恵比寿駅へ。
そこに現れたのは、某ロックバンドのベースシストUさん。K下さんにしても、Uさんにして
も年の割には(失礼!)スタイルが驚く程良い。贅肉なんか全く無し。小さめのシャツをピタ
ッと着て、細身のパンツで颯爽と闊歩してきた。
「始めまして、Uです」
このUさんの腰の低さはミュージシャンじゃ珍しいんだよ、とK下さんが云う様に、本当に
礼儀正しい好漢でありました。さて、まだ時間がありますから、ちょっと一杯遣りましょうか
と、駅前の焼鳥屋さんへ。
時間がある?ん?と思って尋ねると、Uさんも今夜のライブに出演されるんだとか。
まぁまぁ、先ずは乾杯ってことで、島らっきょうや、奴豆腐、焼鳥の盛り合わせと、三人の装
いからは及びも付かない様な渋い肴相手に杯を鳴らす。そんな肴の中に、K下さんがもう一
品添えたのでした。
「これ、このアンバサタ―君が歌ったレコードなんです」
と、先日、ゆふいんへ行った時、洒落に配ったおいらのレコードがUさんの手に渡る。
突如として興るは爆笑の渦。
「男の……やさい編ですか。お肉編やお魚編はないんですか」
「申し訳ありません、諸般の都合に因りまして……Uさん、もう止しましょうよ」
「うはははは。すげーなぁ」
傍でその遣り取りを見ているK下さんは大笑い。お蔭で初対面のUさんと打ち解けることが
出来た。
暫し、UさんとK下さんの熱いロック談義の後、ふと会話が止んだ。そうだ、とアンバサター
は鞄の中をごそごそ。
「Uさん、お近づきの印に、これ差し上げましょう。あたしの商売道具で恐縮なのですが」
「あ、扇子ですか。いいんですか貰っちゃって」
「どうぞ、どうぞ。なんたってこの夏は酷暑ですからね」
「有り難う御座います。へー、すげーなー(というのがUさんの口癖)これで蕎麦食べる真似
とかするんですよね」
「そうです。ちょいとお遣りになってみてください」
「こうですか」
「ええ、そんな塩梅ですよ」
「うーん、でもなんか違うなぁ」
そろそろ、と店を出て、ライブ会場まで歩くUさんはその道中ずーっと
「ズズズ…違うなぁ。ズズッズズズ…こうでもないなぁ」
と熱心にお稽古をしている。そんな可愛らしい方(失礼!)が、一度ステージに立つと、熱い
ロッカーに豹変するのです……。
その件は又明日。
by yufuin-brothers | 2007-08-08 13:18 | 演奏会ア・ラ・カルト